正直に言うと、漫画で子どもが変わるとは思っていませんでした。娘が6歳になった頃、妻が「読み聞かせじゃなく、自分で読める本を揃えたい」と言いだして、試しにいくつか買い与えてみたのですが、当時の私の感覚では「まあ暇つぶしになれば十分か」という程度のものでした。
ところが、Dr.STONEとの出会いが、その考えをまるごと覆してしまいました。
「お父さん、石灰水ってどうやって作るの?」
娘がDr.STONEを読み始めて1週間もしないうちに、夕食の席でそう聞いてきました。作中では、主人公の千空が石灰岩を焼いて生石灰を作り、それを水に溶かして石灰水をつくるシーンが丁寧に描かれています。娘はそれを読んで「本物でもできるの?」と思ったようです。
私はとっさに「貝殻を燃やせば似たようなものができるよ」と答えました。すると次の土曜日、娘は庭で拾っていた貝殻を集めてきて「燃やしてみたい」と言い出したのです。
庭の家庭菜園スペースで、娘と一緒に貝殻を少量焼いて粉砕し、土に混ぜる実験をしました。「石灰で土のpHが変わるんだよ」と説明すると、「pHってなに?」「酸っぱいってこと?」と次々に質問が来ました。教科書で習うより先に、娘は漫画を通して「石灰と農業の関係」という概念に触れていたのです。
その後も実験は続きました。お風呂の時間に「サイフォンってどういう仕組みか試してみたい」と言い出し、ストローと洗面器で水の移動実験を始めたのは、作中でサイフォンの原理が説明されるエピソードを読んだ直後でした。
「炎色反応、やりたい」
これが一番驚いた出来事です。キャンプに行ったとき、焚き火をしながら娘が突然「塩をくべると炎の色が変わる漫画があった」と言い出しました。そして実際に、食卓塩をひとつまみ炎の上に落として、淡いオレンジ色の炎色反応を確認したのです。
6歳の子どもがナトリウム、リチウム、銅という言葉を使って炎色反応を説明している。私は正直、頭が真っ白になりました。学校でこれを習うのは中学2年生の理科です。それを娘は漫画から、しかも楽しみながら吸収していた。
なぜDr.STONEはここまで効くのか
この体験があったから、私はMANGAKNOWを作ろうと思いました。そして改めてDr.STONEを読み返しながら、なぜここまで子どもの知的好奇心を刺激するのかを分析してみました。
一番の理由は、「知識を使って実際に何かを作る」という体験が物語の中に組み込まれていることだと思います。多くの知識系漫画は「こういう仕組みがある」という解説で終わります。でもDr.STONEは「その知識でどんな問題を解決するか」まで描く。読者は知識の「使い道」をセットで受け取るため、「自分でもやってみたい」という衝動が生まれやすいのです。
もう一つは、千空というキャラクターの設定です。彼は天才ですが、「俺にしかできない」ではなく、「やり方を知れば誰でもできる」という態度で科学を語ります。子どもにとってそれは「自分も試していい」という許可証として機能します。
Dr.STONEの知育スコアは43点(Sランク)で、掲載全作品中の最高点です。特に「論理・数理(9点)」「創造・探究(10点)」が突出しており、今回の娘の体験はまさにこの2軸が実際の行動変容につながった事例と言えます。データは嘘をつきませんでした。
このサイトを作った理由
娘のDr.STONE体験から数ヶ月後、「他にもこういう漫画はあるはずだ」と思い、調べ始めました。でも「子ども向けおすすめ漫画」の情報は、人気ランキングか感覚的な推薦がほとんど。「なぜその漫画が知育に効くのか」を説明したものがほとんどありませんでした。
それなら、データで分析してみよう。各作品のレビューや書評を集めて、「どんな知的な言葉が多く使われているか」を数値化できれば、主観に頼らない選び方ができる。そう思ってMANGAKNOWの開発を始めたのが、このサイトの原点です。
子どもに漫画を読ませることへの後ろめたさを感じている親御さんは少なくないと思います。でも、正しく選べば漫画は立派な知育ツールになり得る。そのことを、娘が身をもって証明してくれました。
このサイトが、あなたと子どもにとっての「Dr.STONE体験」を見つける一助になれば、これ以上嬉しいことはありません。